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©2023 IDC #US50243223 2 リレーショナルデータベースはクエリーを実行しやすかったため、当初はデータ分析に利用されてい たが、時が経つにつれ、企業はデータを単一のシステムで管理したいと考えるようになり、リレー ショナルデータベース管理システム(RDBMS:Relational Database Management System)は、分析 機能だけでなくオンライントランザクション処理(OLTP:Online Transactional Processing)も搭載 するまでに進化を遂げた。1990年代初頭には、RDBMSがあらゆるデータ管理手法の標準とみなさ れ、競合する形態はほとんどデータ管理業界の端に追いやられた。 ところが、その後、大きな変化が次々と起こった。その始まりは、64ビットのアドレス指定可能な格 段に高性能なプロセッサーが開発されたことである。つまり、それまでよりもはるかに大量のメモ リー内データを処理できるようになったのである。高速ネットワークによって、それまでよりもはる かに多くのデータを高速で転送できるようになり、ストレージ自体も安価で高速になり、プロセッ サーやメモリーにおいては、容量の増加に対して価格は急落した。 こうした物理的な改善に加え、リレーショナル DBMSでは対応できないほどの柔軟性、スケーラビリ ティ、容量を必要とするさまざまなアプリケーションが登場し始めた。さらに、センサーや IoTのス トリーミングデータ、スマートモバイルデバイスデータ、ログデータなど、リレーショナルテーブル 構造にうまく収まらない形式のデータを処理したいというニーズも生まれていた。多くの場合、ある 業務に必要なビジネスデータ一式を形成するためには、関連する値を抽出するために複数のテーブル を結合するクエリーの実行が必要となる可能性があり、これによって、クエリーが複雑になると同時 に、アプリケーション開発の面でもある程度の硬直性が生じることになる。そこで、さまざまなデー タ管理方法を試そうとする動きが生まれ、NoSQLムーブメントが沸き起こったのである。ドキュメ ントデータベースを皮切りに、XML(Extensible Markup Language)というドキュメント規格を処理 するもの、JSON(JavaScript Object Notation)という別のドキュメント規格をサポートするもの、 データレイク(非常に大きな非構造化データの集合体)向けの Hadoop、そして key-valueストアと ワイドカラムストアが登場した。これらすべては、RDBMSではサポートが難しかった各種ジョブに 対して、より優れたスケーラビリティと柔軟性を提供するものであった。 今では、システムアーキテクチャや仮想化サポートレベルの変化に伴い、パブリッククラウドサービ スが登場し、ハードウェア、ソフトウェア、パッチ適用、メンテナンス等の運用オーバーヘッドを排 除した従量課金サービスという考え方が定着している。これらのパブリッククラウド向けに開発され たアプリケーションは、マイクロサービスアーキテクチャを採用し、アプリケーションのアクション の実行や削除が可能なコンテナ内でコードを実行することで、使用されるリソースを制限する機能を 最大限に利用するよう設計されている。これによって、使用したプロセッサーに対してのみ料金が発 生し、アプリケーションは固定サーバーに常駐することはない。マイクロサービスの共通の目的は、 「サーバーレスアーキテクチャ」(特定のサーバーに常駐するのではなく、さまざまなサーバーで動 的にアプリケーションが動作するアーキテクチャ)を実現することである。マイクロサービスはデー タベースに特別な要求を行うため、処理されるデータの種類だけでなく、サーバーレスアプリケー ションの運用要件も満たすように設計された DBMSを導入することが重要である。 現在では、主にメインフレームをベースとした旧来のナビゲーショナル DBMSやマルチバリュー DBMS(その多くはパブリッククラウドへの移行に当たり、より新しい形式への変換が必要とみられ ている)に加えて、RDBMS、ドキュメント DBMS、ワイドカラムストア、key-valueストア、グラフ DBMSなどがある。これらの運用モデルはいずれも、特定のワークロードに非常によく適合してお り、データ管理に関するあらゆるニーズに対応しようとした場合、1つのアーキテクチャで実現でき るよりも優れたパフォーマンスを発揮できる。 ワークロードを対象としたデータベースシステム データベース間で慎重に制御され、適切に管理された方法でデータを共有できる環境では、リレー ショナルデータ管理、ドキュメント管理、グラフ分析など、特定のワークロードを対象とし、その