January 2023, IDC #US50243223
White Paper
ジョブに適した DBMSの選択:AWSが提供する目的別(Purpose-
Built)データベース
Sponsored by: Amazon Web Services
Carl W. Olofson
January 2023
調査概要
最も一般的に使用されているデータベース管理システム(DBMS:Database Management System)
は、リレーショナルデータベースをサポートするように設計されている。多くの場合、他の運用モデ
ルをある程度サポートするために、追加機能が盛り込まれている。このような運用モデルに対するリ
レーショナルデータベースのサポートは、大抵の場合、非リレーショナルモデルを中心とした業務に
は不十分であることが分かっている。ドキュメントデータベース、グラフ解析、key-valueや、その
他特殊な運用モデルについては、それぞれの運用モデルに対応するよう特別に設計された DBMSを使
用するのが望ましい選択である。本書では、現在使用中の運用モデルに適した DBMSを選択するとい
う問題について検討する。まず、一般的なマルチモデル DBMSはどのモデルにも対応しているが、い
ずれのモデルにも特化していないことが多く、特定のデータ管理問題には特定の目的別(purpose-
built)DBMSを選択するのがいかに望ましいかについて考察する。次に、Amazon Web Services
(AWS)が提供するさまざまな目的別 DBMSを取り上げ、それぞれが特定のデータ管理機能に対し
てどのように狙いを定め、そのモデルの価値を最大限に引き出しているかを検証する。
概況
データベース管理システムは、1960年代初頭から利用されている。このシステムでは、「スキー
マ」と呼ばれるアプリケーションに依存しない構造に基づいて管理されたデータの提供によって、固
定のバッチジョブやフラットファイルの制限を克服することで、ファイル管理の問題を大幅に軽減
し、アプリケーションプログラムを任意の順序で実行できるようになった。これらの DBMSの問題
は、その構造を精緻に把握していないとクエリーを実行できないことであった。そこで、IBMフェ
ローであった Edgar F. Codd博士が、数学的集合論に基づいてデータを体系化するリレーショナル
データ管理によってこの問題を克服した。このモデルは非常に単純化されており、一意のキーとそれ
に関連するいくつかの属性がリレーションシップ(関係)を形成するよう要求する。キー値とそれに
関連する属性のリストはすべてタプルと呼ばれる。一般的に分かりやすくするために、リレーション
シップをテーブル、タプルを行、属性(およびキー)を列と呼ぶことにする。通常、曖昧さや冗長性
を排除して一貫性を確保するしくみが用いられるが、これを「正規化」と呼ぶ。 テーブルの行は、他
のテーブルのプライマリーキー値と一致する外部キー値によって、他のテーブルの行に関連づけられ
る。それをサポートするために登場したのが、構造化クエリー言語(SQL:Structured Query
Language)と呼ばれる標準的なクエリー言語である。新しい DBMSがリレーショナルデータ管理に
完全に基づいて開発されると、SQLはクエリーだけでなく、データ操作機能も盛り込むよう拡張され
た。